東京に行く予定があったので
暑さも少し和らぎ、東京へ行くついでに、高畑勲展を見に行きました。
時期的に(夏休み中なので)混んでいるのが心配でしたが、そこまでは混んでいない事を確認しておきました。
ただ最寄り駅の竹橋駅の改札前には、臨時の入場券売り場があったりして、もしかして混んでいるのかと身構える感じになりましたが、別段その日は混んでませんでした。
美術館の入場券売り場も入口も列もなく入場できました。展示場内部は閑散とはしておらず、静寂につつまれつつも、そこかしこに見学者がいると言う状況でした。高齢者の方はほとんどおらず、また夏休み中の子供も目立たず、外国人の方は目立ちつつと言う感じでした。
演出は展示しづらいが
会場に入ったすぐのところには高畑さんの大きな写真パネルがあり、ノート資料展示などから始まり、思った以上にテキストベースの展示なのかと思ったのですが、トータルとしてはビジュアルな展示内容にはなってました。
ハイジの小屋のジオラマがありこれだけ写真が撮れるようになっています。
会場のレイアウトは高畑さんの創作活動が4つの時期に分けて展示され
- 入社からホルス(でしくじる)まで(東映動画)
- 日常を豊かに丁寧に描くアニメ(パンダコパンダから名作劇場)
- 日本の日常を描く(じゃりン子チエからジブリ)
- 実験的作品(意図的な余白、独特な輪郭線)の時代と続き
個人的には「ホルス」の後「パンダコパンダ」でがらりと景色が変わっていく感じがよく分かります。ホルスが悪いという話ではなく「パンダコパンダ」から始まる日常を豊かに楽しそうに描くアニメーションへの方向転換が何かの解放感に包まれ広がっていく印象でした。
テキストベースの展示が多いと書いたように、初期の活動内容にはびっしり文字で書かれた制作資料も多く、アニメーションという視覚や聴覚に訴える表現媒体で、作家性を発揮するために膨大な文字での準備が用意されている事が良く分かります。この文字の資料を全部読んでいたら、おそらく後1、2時間は必要だったでしょう。
そういう意味では視覚的な展示を通しては高畑さんの演出家としてある一部を見ているだけなのかもしれません。妥協を全く許さない制作姿勢と(その悪影響とか)か宮崎さんが驚く、アニメを離れた教養の深さと言った部分の高畑さんの人間のもう少し輪郭が分かるような触れていないのはちょとした不満もあります。「日本のアニメーションに残したもの」なので間違ってはないですが…。
とは言うもののリアルタイムに見てきた作品群を前にして、懐かしさやそういう作品を見られた幸運への感謝の気持ち、圧倒的な仕事量、妥協を許さない姿勢への背筋が伸びる思い、などが多くの感情が入り混じった複雑な気持ちになりました。
ヒルダのひっかかり
以前「ホルスの大冒険」ヒルダしか覚えていないと書きましたが、この展示ではヒルダの様々な決定前イラストも見ることができます。結果的には森さんの描いたヒルダが採用されたのですが、覚えているのもなるほどと思わせるように、わかりやすく他のキャラクターと違ってますし、傍らの説明パネルには「ヒルダ」の不思議な表情には「般若」的な要素があると書かれていました。言われてみれば納得します。
アニメグッズすぎるものは別に欲しくないので、何かを買っておきたいという気持ちもあり、豆皿を記念に買いました。(コメダ珈琲へ行くと袋入りの豆が出てくるのですが、それを載せておくような小皿。)