あぐらのSoloZakki

令和が始まる直前に53歳で退職しました。安定から自由を目指します。

矛盾は文明のスパイス(サピエンス全史)

ようやく聞き終えたサピエンス全史

Audibleで前から読み始め(聞き始め)ていたのですが、壮大なスケールの大作で休み休みだったので時間がかかりましたが、ようやく聞き終わりました。

話も長く内容も多岐に渡るので全てに対して逐一感想は書きません。

筆者の分析については一面的な解釈じゃないかという箇所と思う事もありましたが、個人的に目を開かせられた解説も多かったです。中でも狩猟社会から農耕社会への移行をマイナス面として捉える指摘とかは、なかなかなるほど感がありました。

ヒト属の頂点に立った理由が出発点

既に書いたとおり、人類の歴史を猿人のレベルまで遡って解説していく長い話なんです。ざっくりとした大きなテーマは

  • ホモ・サピエンスは集団で行動できる事で他のヒト属を打ち負かした
  • 認知革命によって更に大きな組織(国家)を運営できるようになった

と言うところです。

認知革命と言うのは簡単に言い換えると、目に見えないモノを信じる事ができる事とそれを共有できる事です。見えないモノとは古くは神話、身分制度、宗教、さらに貨幣制度などを指します。身も蓋もない言い方をすれば虚構を作り上げて共有する事ができる能力の事です。

 

別の見方をすれば、人類(ホモ・サピエンス)とは組織で行動するようにできていて、組織を大きくする方向のバイアスがかかっている種だとも言えます。

 個人的人権の観点からみれば人類の歴史はその拡大の歴史とも言えます。ただ個人的人権とは(集団で動く事で発展してきたサピエンス社会)にとってはある意味ジレンマな訳です。

今も両者の利益の排反が見られたり人権軽視が見られるのは、隠れた人類のDNAによるものなのかもとか、社会性や協調性を欠く人が生き辛いのも(集団行動によって骨格レベルで勝るネアンデルタール人を駆逐した)サピエンスの神話からすれば集団行動に不適な個体への潜在的な淘汰圧が働いているのかとか勝手に納得してしまいました。 

解決できない問題への突き抜けたスタンス

もうひとつ興味深かったのは、現代社会の利益対立による数々の矛盾の存在についても触れていた事です。(「第9章 統一に向かう世界」)

agura-huma.hatenablog.com

コロナ感染によって新たに発生した「感染防止策」と「経済活動」が両立できない問題。「どちらの意見が正しいと言えない」と思うと書きました。(こういう状態を「認知的不協和」と言うらしいです)

「認知的不協和」に対する自分のスタンスは「短絡的にどちらかが正しいと言わない」また「前提条件を否定しない」いうスタンスですが。

ja.wikipedia.org

本書でも、古くは中世の「キリスト教精神と騎士道精神」の両立の問題、フランス革命以降の「個人の自由 VS 平等」の両立の矛盾について取り上げています。

著者はこれらの二律背反の存在について「調和ばかりではハッとさせられる事はない」と語り「認知的不協和は必須の長所」「これは欠陥ではない」と断じています。二律背反状態がある現在の人間社会を良いことのように語っているんですが解決策には触れてません。こういう矛盾を前にして悩むのでなくポジティブに考えると言うのは想像の斜め上行く感じですが、(この人が)「ノーアイデア」なのはちょっと肩透かしな感じと言うか残念でした。

サピエンスの歴史は集団行動の歴史だからと言う理屈で、個人の権利を圧縮する理屈を展開する事もできるので、それよりはいいかもしれません。

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認知革命によってより大きな集団で行動できるようになった。帝国の誕生(古代国家の誕生)

大きな集団で行動する社会(秩序を維持する方向でバイアスがかかっている社会)捉えました。

自由で平等であると言うものの、集団の利益に対立する事があるのはある意味(社会の発生・ベクトルから考えると当然の

 

想像上の産物(主に概念)を共有できる動物 

アマビエのような

文明=矛盾という捉え方。

大集団で行動できるようになったのがサピエンス繁栄の勝因。大集団が維持できるような虚構を信じられない人をマクロな視点では必要としていない社会。

逆に集団で行動できない非協力的な人は遺伝子を残せないようにできている。

 

集団で行動できない協力的な遺伝子は伝わらない。最大の自由を求める人は子孫を残せないというキツい箴言が身にしみました。

解決できない問題はない

温暖化社会とか少子高齢化と言った問題も、もとを返せば自由と平等が抱える矛盾点から生まれてますが、そう言った矛盾についても、文明とは矛盾を軸に回っているもの、緊張感を生むスパイスだと楽観的に言ってくれます。

 

 

 

 

小林秀雄本居宣長が書物がおかしな方向に進む事において、人生は突き詰めると矛盾になるほどと感じたのは

 

農耕社会が人類