じっくりと鑑賞
横浜そごうで7/7まで開催されている「水木しげる展」を見に行っていました。
先生が亡くなり3年も経っているし、平日の昼間の百貨店内の美術館にどれほどの人が足を運ぶのか分からなかったのですが、閑散でもなく落ち着いた賑わいがあり、じっくりと見ることができました。
水木作品との出会いは、小学生のころのTVアニメの鬼太郎(第2部)になります。
この部の作品群は、鬼太郎が出てこない短編原作を元にした話が含まれてて、ハッピーエンドばかりじゃなかったり、人間の暗い部分や当時の社会問題とかを扱っていて、子供心には全部消化しきれない部分もあり、強く心に引っかかりました。そういう部分だけでなく、各作品のモチーフの奇抜さとか、筋立ての巧みさに感動していたと思います。ただ熱心に作品を買い集めるという事はなかったですけれど。(買うものが多すぎるし)
戦争で左手を失い死線を彷徨い、長く極貧の中で過酷な仕事こなしたりと、理不尽で絶望的な状況を体験しつつ、また先生の作品が全てとぼけている訳でもないのに、トータルとしての輪郭が、どこか陽性でユーモアを感じさせるところの印象となるのは改めて不思議です。そもそも妖怪という本来「怖い」「不気味」な異形なものを、みんなが受け入れているところに通じるものがあるかと思います。
水木先生の奇抜な造形センスとストーリーテラーな才能の部分が特に好きですが、今回の展示で漫画家になる前の若いころの作品、漫画家としての創作活動の現場、多岐に渡った才能と歩みを見る事ができて良かったです。
今回の展示で、今更ながら「河童の三平」の「たぬき」が気に入りました。