あぐらのSoloZakki

令和が始まる直前に53歳で退職しました。安定から自由を目指します。

映画「きっと、うまくいく」感想(問題解決は目的ではない)

パッケージを見て、スラップスティック的なおバカ映画かと

と誤解してました。映画の出だしにはそういうところもあって、見始めの段階ではやっぱりそうかと思ったりしてましたが…。この映画で描かれている学歴社会の問題や親子の価値観の違いによる衝突を世界共通で普遍的であり共感できる事に驚きます。そしてこの映画がそういうテーマを実に上手に扱っている事に感心します。

競争社会の負の側面は映画では解決できないけれど

奇しくも、6/11のNHKの朝ドラ「なつぞら」で主人公の友達が「文学や演劇の目的は問題の解決にあるのではない(by イプセン)」(要約)と語ってましたが、この映画も競争社会という現実を映画で変える事は無いことを承知で、重く厄介な題材に真正面から取り組み、娯楽性に包みつつも、親子とか友情とか感動をきちんと描いて、後味よくきっちりと終わらせるところに感嘆しました。

 社会問題をテーマにしてしまうと、社会構造そのものを変えるのは、現実離れしすぎているので、ややもすれば試合に負けて勝負に勝った的な終わらせ方になったり、悲劇のカタルシス効果を狙ったな結末になったりしますが、どちらにもならないいい意味で期待が裏切られました。(ミスター・ガラスも見習って欲しかった…。)

 また監督に対する事前知識が無さからミスリードされやすい部分があるのでしょうが、それをさておいても伏線の貼り方も面白く、テーマの消化の仕方、娯楽性を忘れない事、エンディングといずれも高レベルで、Amazonの評価も納得。見終わった時の気持ちの良さからも個人的にはかなりいい映画です。 

きっと、うまくいく(字幕版)