あぐらのSoloZakki

令和が始まる直前に53歳で退職しました。安定から自由を目指します。

オリジンから考える1stガンダムの面白さ

4月からのテレビ放送(NHK

安彦さんの原作のアニメ版「機動戦士ガンダム オリジン」のテレビ向け再編集版が最終回を迎えます。もともとPrimeVideoでいつでも見れたのですが…。微妙な評判を耳にしてこれまで見てなかったのですが、毎週放送となれば何となく見れてしまうものです。

   

ファーストガンダムの隠れ設定と言うべき1年戦争前夜を作品化する、それも当時の主要関係者のひとりでもある安彦さんが作画に関わるとすれば期待は高まる訳ですし、実際のプロモーション映像は動く安彦キャラを久しぶりに見れるワクワク感がありましたが…。

 

やはり(設定上とは言え)歴史を可視化して見せるという作業は、大きな情報の塊(流れ)から何かを省略しどこかを強調するかという取捨選択が要求されます。選ばれたシーンに色々と詰め込んで、いい意味でやりたい事や隠れたメッセージがわかりやすい形式になるのですが、例えば運命に理不尽に翻弄された人間を描くという、案外平凡なメッセージをぶつけられて戸惑った感じです。

 そういう意味では、ファーストガンダムであの有名なラストシーン(さらりとナレーションだけで済ませるところとそうでない遠近感の取り方)を含めて、省略と強調からくる印象深さが、優れた演出表現だったと改めて感じます。

  

 後はキャラクターにそれほど感情移入できないところでしょうか。作品自体は群像劇に近いとは思いますが、この時点での主人公はシャアなのだと思います。そのシャアがファーストガンダムで言うところのガルマのような自信たっぷりの気取り過ぎキャラになっているところがどうも…ある意味チートキャラですから、あれで良いという意見もあるかもしれません。 

 一方のガルマはその割を喰ったのか、ザビ家のマスコットキャラみたいになってしまい、その他のザビ家の面々も特撮ヒーローものの悪の組織の幹部レベルの言動だし、そう割り切って見れば面白いのでしょうが、何か芝居がかった台詞回しの多さが気になりました。

 

 オリジンとファーストガンダムに似たような(関係を持つ)作品といえばスター・ウォーズシリーズが近いかと思います。物語の時系列で言えば後ろの作品(456)を先に見てから、あらかじめ結末が分かっている話(123)をあえて観る事になります。

 

 マンガやアニメなどで、既存の著作物を使った商品を作る事を2次利用(使用)と言いますが、そういう意味ではこういう時系列を遡った上での作品も2次利用の一種かもしれません。オリジナル作品があっての作品なので、純然としたオリジナル作品とは別の楽しみ方が発生するのかなと思います。そういう意味ではそれなりに楽しめました。