あぐらのSoloZakki

令和が始まる直前に53歳で退職しました。安定から自由を目指します。

4%ルールのアレンジとドルコスト平均法の問題点

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山崎元さんが薦めてた「父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教え」がAudibleで読める(聴ける)事を知ったので読んでみました。(いつから対象になったのかは知りません)

この本の存在自体は以前から知っていたのですが、そのタイトルから自分にはあまり関係のない本かと思っていました。最近の山崎さんのFIRE動画(?)で薦めていたのでちょうど良い機会と読んでみました。

最初のうちはハズレと思っていたが

まずざっくりとした感想ですが、前半は知っている話が多かったり、アメリカの金融商品や税制に特化した話が多くて挫折しそうでしたが、後半から興味深い話が増えて面白くなってきて、トータルとしては読んで良かったです。

結構長い(Audible換算で6時間強)ですが、FIREを目指す人は読んでおいて損はありません。教科書的な投資の知識とコスト感覚を身が身につき、4%ルールの概念と応用が理解できます。そういう意味ではリタイア後でも読んでもためになる部分はありました。

 

個人的に特に印象的だったのは以下の3つです。

  • シンプル過ぎて具体的な投資先
  • ドルコスト平均法批判
  • 4%ルールの自己アレンジ

シンプルかつ具体的投資先

自分は色々な投資先に手を出してゴチャゴチャしてますが、この本の著者の投資先は2つしかなく投資先も明らかです。

VTSAXとVBTLXと預金、これだけでよくて後は人生のステージ(リスク選好度)に応じてその比率を変えればいいという考えです。

VTSAX 銘柄 - バンガード・トータル・ストック・マーケット・インテ 投資信託(ファンド)情報 - Bloomberg Markets

VBTLX 銘柄 - バンガード・トータル債券市場インデックス 投資信託(ファンド)情報 - Bloomberg Markets

著者は「ヴァンガード大好き」で「ジョン・ボーグル推し」が強い人で、なぜそうなのかについても多くページが割かれています。このシンプルさは自分が手を出しすぎているので却って印象に残りました。

ドルコスト平均法批判

ドルコスト平均法は、長期的に右肩上がりの投資対象が一時的に下がる事を想定(期待)して行う投資スタイルですが、著者は実際にそういう事は起こるのは過去43年間の数字から計算すると23%以下でしかなく、(そう考えると)割高な投資行動だとして嫌っています。

サラリーマン(の積立)は一度に投資できるお金が限られていて(月に一度だから)結果的にドルコスト平均法になっているに過ぎないと言います。

逆にまとまったお金がある場合に注意するのは、投資タイミングでなくリスク選好度(どんなポートフォリオを組むか)だと言っています。

目標とする投資配分(現金・株式・債券等)が決まっているならば即座にそのように投資すべきだという意見は、たしかに山崎元さんの意見でも聞いた事があります。

まさに自分のような退職金を貰ってから、それをドルコスト平均法によってちょっとずつ投資している事を、投資タイミングを調整しているように見えても、資金の移動が終わった後直後の下落のリスクを結局避けられていないという風に批判してます。

 

ただこの指摘で注意すべきなのは筆者の投資対象がアメリカ市場だった事で、確かに一括投資の妥当性は説得力がありますが、日本市場のような(動きの)場合は一概にドルコスト平均法が悪いとは言えないかとは思います。(自分はここ2年間アメリカに投資していたのでドルコスト平均法が間違っているという指摘はあってますが…)

とは言うものの、一括投資は何となく心配になるのも事実で、著者もあくまでそのあたりの心情への理解があり、最終的には好きにしたらいいという事も書いてました。

4%ルールに対する私見(引き出す比率)

詳細な定義がやや曖昧な「4%ルール」についても明快に定義をして、引き出し率や投資配分についても持論を展開してます。

「株式と債券半分ずつ保有するポートフォリオで引き出し率4%、ただしインフレ率に応じて調整する」このモデルでは96%の確率でポートフォリオが全く減少しませんでした。

トリニティスタディはポートフォリオからいくら(率)引き出すと30年間で何が起こるかの調査(1998年と2009年に実施)

 

これが一般的な4%ルールの定義かと思いますが、筆者は株式の比率をもう少し上げたり、引き出し率も3%から7%ぐらいまで、個人裁量でアレンジできるという考えでした。ただしローコストのインデックスファンドで運用しないと4%ルールの数字は成立しないという事も強調していました。

そういう意味では本書の資料として株式と債券の比率、引き出し率を変更したシミュレーション結果の掲載されていたので参考になります。

ちょっと気になったのは4%ルールでうまくいかなかった場合のアドバイスの内容

3から7%の幅の中で、どの引き出し率にするかを考える上で、数字よりも重要なことがあります。それはあなたがどれだけ柔軟に自分の生活を変えられるかです。

いざと言う場合には「柔軟に対応する」って、あまり意味のあるアドバイスとは思えません。

その他に当人は5%後半の引き出し率で生活していて、今後は4%未満に落としていきたいと書かれており、現実的な数字が参考になる感じでした。

何だか勿体ないタイトル

「娘に伝える(略)」というタイトルから、もっと説教臭い人生論的な内容かと思っていたのですが、大きく予想を裏切られました。普通に経済的な自立を目指す人向けの内容でFIRE本であると思います。経済的自立達成後の引き出しについても引き出し率についての言及についての部分も自分に関係があって読んで良かったです。

そういう意味では、もっと違ったタイトルにすれば良かった、(もったいない)気がしました。

 

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