早期リタイアするためにいくらあればいいか?については資産運用(利回り)ありきで計算してました。アテにしないとお金がたりなさそうだし、ゼロって事はないだろうというスタンスです。これは複利を期待している事でもあります。
この計算を繰り返すと、利回りの数字を少し増やすだけで逃げ切りやすさが増す事、複利効果の大きさに気付かされます。そんなわけで複利効果は早期リタイア(FIRE)とは切っても切れない関係なのですが、先週とある興味深い記事を見かけました。
投資商品に複利運用効果は期待できないと言う話でしたが、個人的には平均利回りの数字は複利計算に使う期待リターン(利回り)の数字には使えないという点が引っかかりました。
年5%の平均利回りに対する誤解
記事中に複利計算についての、こんなよくある説明があります。
年5%を1年複利で運用し続けると、100万円が10年後には162万8,894円になるという計算が成り立つわけですが、これを価格変動商品である投資信託にそのまま当てはめるのは、いささか無理があります。
100万円を年利5%で複利運用すると単利よりも増えるという話です。
この説明は一定の利率で上昇するわけではない投信に当てはまらないという話で、その説明として価格の上下動を繰り返しながら上昇した投信の例を示してました。(具体的には上記記事参照)
毎年の利回りの平均値(各年の利回りを全部足して10で割った値)が5%だった場合
実質的に複利に近い運用を行うわけですが、この結果、10年目に100万円がいくらになるのかというと、145万5,809円なのです。
10年間の平均利回りが5%だった投信の10年間の運用成績は、よくある5%複利計算の結果と一致してませんでした。
この説明から2つの事が分かります。
- 投信の過去の平均利回りは、複利計算で使う期待利回りとは違う
- 一言で平均利回りと言っても定義は色々ある
今回の例では、平均利回りは毎年の前年比利回りの和を10で割ったものでしたが、10年間で45万円の利益があった場合、平均年利回りは4.5%とと考えるのも自然です。
どちらの平均利回りの考えが正しいかはさておき、問題はこういう利回りを将来の期待利回り計算によく使ってしまっている事ですね。
平均利回りと期待利回りの違い
もうちょっと考えてみます。20年で基準価格が倍になった投資信託があれば、平均利回りは5%だったとみます。これを運用利回り5%の投信と思い、将来の期待利回りも5%を使ってしまいます。
有名な「72の法則」で考えると、5%の(複利)で資金が倍になるまでの期間は
72÷5=14.4≒15年です。
実際には20年で倍になった場合、5%の複利では回していなかった事になります。では何%で回したかと言えば、72÷20年=3.6%です。
期待利回りは存在すると思うけれど
ただこの結果から、過去の平均利回り5%だった投信の将来の期待利回り(複利あり)は3.6%とはなりません。(過去何年の平均をとったかで変わります)
よく S & P 500の過去の平均利回りについての数字を見ますが、これもあくまで過去に遡って現在までどれだけ上昇したかという表現の一つでしかなく、これから投資する場合の複利シミュレーションの期待利回りには使えないという事ですね。
S&P500の1991年来の年率平均リターン換算で「+9.3%」だそうです。
自分の早期リタイア計算の場合では「逃げ切り計算機」や野村證券「みらい電卓」での取り崩し計算をした際に1~2%程度の期待リターンで計算してますが、どうなる事でしょうか?ゼロではないし欲張ってはいない筈ですが…。
期待リターンという見えないものよりも、配当や分配金という計算しやすい不労所得をアテにする気持ちも分かります。
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